自動車の安全性を十分確保しながら、燃費を向上させるのが自動車業界にとっての大きなテーマです。資源小国の日本にとって重要な課題でもあります。
エンジンやガソリン、部品などの複合的な要因はありますが、軽さも燃費向上の一翼を担い、CO2削減にも貢献しています。近年では車体を軽くするために、金属製から樹脂製へ部品の置き換えが進んでいます。また、生産工程の簡素化や燃費・安全・環境性能向上の要求などを実現するためでも、樹脂が使われはじめています。
課題になるのは、安全性に関わる樹脂の強度アップ。ここで注目されたのが、樹脂強化用ガラスファイバです。
ガラスファイバの中で、主に自動車部品やエレクトロニクス機器に用いられる〈Eファイバ〉。もっとも優れた特長は、樹脂に混ぜ合わせることで、強度や寸法安定性などを増強すること。この〈Eファイバ〉を樹脂の強化材として使うことで、金属部品にとって代われる強さで、軽量化し燃費も向上することが可能になりました。
また、樹脂は金属とは違い、複雑な形状でも効率的に生産することができるので、現在はドアやエンジン部品、排気管などに使われています。軽量化による燃費向上や生産工程の簡素化が可能になったことで、最近ではハイブリット車を含む自動車全般への採用が進んでおり、未来に貢献する素材です。
およそ80年前に工業化された「ガラスファイバ」は、〈Eファイバ〉と〈ARGファイバ〉があります。〈Eファイバ〉は自動車分野での用途をはじめエレクトロニクス機器の筐体や部品、合成木材(鉄道の枕木)などの用途もあります。また、〈ARGファイバ〉は耐アルカリ性に優れモルタルやコンクリートに混ぜることでその強度を確保。部材の厚みを薄くでき、建物全体を軽量化することが可能になります。また、メッシュ加工したものはトンネルの剥落防止や橋脚のひび割れ防止など、建築・土木の“インフラ”を支えています。
「ガラスファイバ」は、その優れた特性(引張強度、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性など)により、今や現代社会になくてはならない素材となっています。
私たちは、安全、快適、環境性能が求められるモビリティ分野にも、さまざまなガラス製品をお届けしています。
各種の電装部品に使われる電子デバイス用ガラス、照明用管ガラスなどは、モビリティ分野に不可欠な製品です。
身近な自動車から未来のモビリティまで、その進化をガラスが支え続けます。
特殊ガラスのエキスパートとして、ガラスの基幹技術「材料設計」・「プロセス(溶融・成形・加工)」・「評価技術」を育み、そこから生まれた「精密加工・超薄板・超大型基板・複合化・結晶化・環境対応」などの応用技術。それらの技術を融合することで、時代が求める先進の製品を誕生させてきました。私たち日本電気硝子はこれからも、ガラスの基幹技術をベースに、培ったさまざまな応用技術を駆使し、新たな特殊ガラスを生み出し続けます。