企業と地域が協力!琵琶湖の水を守る林道美化活動の現場

2025.5.16
NEG社員たちが不法投棄されたベッドを回収している様子

滋賀県のシンボルである琵琶湖。その美しい水を守るためには、琵琶湖の周辺に広がる森林の保全が不可欠です。しかし、森への不法投棄が絶えないという悲しい現状があります。

日本電気硝子(NEG)は、地域貢献と環境保全をCSR活動の柱に掲げ、今回も林道クリーン作戦にボランティアとして参加しました。本記事では、実際の活動の様子や参加者たちの声を通じて、森林保全の大切さと企業の持続可能な社会づくりへの取り組みを紹介します。

林道クリーン作戦に参加した背景

金勝の森林
栗東市の金勝(こんぜ)生産森林組合が管理する森には多くの林道があります

滋賀県大津市に本社を置く日本電気硝子(NEG)は、環境保護や地域社会への貢献をCSR活動の重要な柱としています。同社は、2018年からJ-クレジットを購入することで地域の森林保全に貢献しており、2025年3月に行われた「林道環境美化活動(通称:林道クリーン作戦)」に社員ボランティア9名が参加しました。

この林道クリーン作戦は、栗東市の金勝(こんぜ)生産森林組合が主催しており、主に林道周辺に不法投棄されたゴミの回収を行います。参加の背景には、J-クレジットを通じた地域の方々との交流があり、NEGは「環境を守り、地域に喜ばれ、地域とともに発展するために何ができるか」を考え、実際に行動に移しています。

昨年も同様の活動に参加しており、J-クレジットについても以下の記事で紹介しています。
滋賀の森林が抱える不法投棄問題‐J-クレジット購入を通じて見えてきたものとは

生活ゴミは減少するも、減らない不法投棄の現状

集まったゴミをトラックに積み込む

今年の林道クリーン作戦では、生活ゴミの量は減少している一方で、不法投棄された大型ゴミの存在が依然として大きな問題となっています。回収されたゴミの中には、大量のタイヤやベッドのマットレス、冷蔵庫など、一般の家庭からは運び出すのが難しい大型の廃棄物も含まれていました。意図的に持ち込んだ業者による不法投棄は、処分費用を削減するために行われているケースが多く、林道の見通しが悪く人目につかない場所が狙われやすいとのことです。

今回の林道クリーン作戦に初めて参加したNEG社員からは、不法投棄の現状を見て次のような感想が得られました。

「投げ捨てられたペットボトルの多さに驚きました。また、水を吸って重くなったシングルサイズのマットレスを崖から引き上げる作業が最も大変でした」と振り返ります。さらに、「こんなに多くの不法投棄があるとは知りませんでした。特に家庭ゴミではなく、明らかに業者が廃棄しているゴミが多いことに驚くとともに、憤りを感じました」と話しました。

林道クリーン作戦に参加した人々の想い

林道クリーン作戦に参加したNEG社員数は最多

今回の活動には、企業や森林組合関係者など66名が参加しました。NEGからの参加者は参加企業の中で最多人数となり、今年は2グループに分かれて広範囲で活動しました。さまざまな背景でこの活動に参加した参加者は、本来の森の姿を取り戻したいという強い想いで活動しています。

(初参加のNEG社員A)
幅広い経験を持つ参加者が集まりましたが、NEG社員からは「少し早めに到着したところ、組合の方々が敬語ではなく、フランクに話しかけてくれたことが印象的でした。企業と地域が対等な立場で協力し合える雰囲気を感じました」という声がありました。さらに「組合員の方々の知識と経験、我々企業の体力とマンパワーでゴミ問題を解決したい」と心強いコメントが印象的でした。

(初参加のNEG社員B)
参加者の一人は金勝生産森林組合の組合長である澤さんの挨拶の言葉が心に残ったといいます。「琵琶湖の水源地の一つである金勝山を綺麗に維持していくことが、琵琶湖の保全に繋がる」と澤さんが述べられ、今回の活動は山だけでなく滋賀県全域に影響する重要なプロジェクトであることを皆が認識しました。また「金勝山が緑豊かで非常に綺麗な山であることが印象的。私自身も微力ながらこうした機会を通じて、少しでも貢献できればと感じました」と、環境保全活動への意欲を語りました。

(スラックライン担当者様)
フォレストアドベンチャー栗東で、スラックラインを運営する担当者は、金勝生産森林組合が管理する山の一部をアクティビティ施設として利用していることから、毎年林道クリーン作戦に参加しています。今年で8回目の参加となり、「お客様にきれいな山を楽しんでもらいたい」という思いから、ゴミ拾いに積極的に取り組んでいます。「生活ゴミは毎年減ってきている感覚がありますが、業者が持ち込んだと思われる大きなゴミはまだ多く、悲しい気持ちになります」と語りました。

(栗東市 市議会議員 C様)
栗東市 市議会議員のC様も、地域の施設を守るために参加しています。「栗東市は琵琶湖に面していないので、山を楽しんでもらえる場所にしたい。そのためには、きれいな山を維持することが必要です」と語りました。コロナ禍を機に自然の大切さを再認識する機会が増え、アクティビティ施設も増加。「林道クリーン作戦は、これからの時期に増えるお客様を迎える準備」と話されていたのが印象的でした。

水源地の大切さを多くの人に知ってもらいたい

金勝生産森林組合の組合長理事 澤 幸司さん
林道クリーン作戦への思いを伺った金勝生産森林組合の組合長理事 澤 幸司さん

金勝生産森林組合の組合長理事の澤 幸司さんは、「今回の林道クリーン作戦を通じて、山の環境を守ることがいかに重要かを多くの人に知ってもらいたい」と話します。「山は木を育てるだけの場所ではありません。健康な山はきれいな水を生み出し、その水が琵琶湖へと流れ込みます。不法投棄されたゴミが多い場所の水は、当然ながら水質も悪くなります。山の健康は、琵琶湖の健康に直結しています」と強調しました。

特に滋賀県は、琵琶湖からの豊かな水資源を活かして、稚鮎(ちあゆ)の生産量が全国一を誇ります。清らかな水がなければ、稚鮎をはじめとする琵琶湖の生態系にも大きな影響が及びます。「市民の皆さんには、水源地を守ることの大切さをもっと知ってほしいです」と澤組合理事長は語ります。

今回の活動には、栗東市市長も参加しました。市長は冒頭の挨拶で、「金勝の山は山紫水明きれいなところだが、林道がたくさんあるので不法投棄が絶えない。林道閉鎖を提案したことがあるが、法的に難しい。行政としてこれから何ができるか、思考停止することなく考えていきたい」と述べ、行政側もこの問題に積極的に取り組む姿勢を示していました。

NEGは、J-クレジットの購入や地域と連携した活動を通じて、持続可能な社会づくりに貢献しています。森林保全活動を通じて、地域の自然環境を守り、地域社会と共に成長することは、企業にとっても社会にとっても大きな価値があります。

「一人ひとりの小さな行動が、やがて大きな変化を生む」。NEGの取り組みは、地域と企業が一緒に持続可能な未来を築くための第一歩となっています。

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