薪ストーブ用耐熱ガラスの選び方とは?
ガラス専門販売店「コダマガラス」児玉社長インタビュー

2025.02.05
薪ストーブ用耐熱ガラスの選び方とは?ガラス専門販売店「コダマガラス」児玉社長インタビュー

薪の燃える様子がガラス越しに見える薪ストーブは、炎の暖かさとノスタルジックな雰囲気が安らぎを演出する冬季の楽しみの一つです。昨今では、アウトドアブームに後押しされ、一般の家庭でも薪ストーブを導入する家庭が増えているようです※。
※参考記事:https://www.asahi.com/articles/ASS4Z2131S4ZULFA01FM.html

薪ストーブの中でゆらゆらと燃える炎は扉のガラス窓越しに見ることができます。このガラス窓には通常、耐熱ガラスが使われており、炎の熱にさらされても割れることはありません。しかし、長年使用していると、何らかの衝撃で突然割れてしまうことがあります。割れてしまった際の最適なガラスの選び方や長持ちさせるためのメンテナンス方法について、ガラス専門販売店「コダマガラス」の児玉雄司社長へ取材しました。

薪ストーブ用の耐熱ガラスの選び方

ガラス越しに炎が見える薪ストーブ

屋内で火を扱うストーブは安全性が第一です。そのため、薪ストーブのガラスには、炎の魅力を安全に可視化する光透過性の良い耐熱ガラスが用いられています。

しかし、熱に強い耐熱ガラスですが、衝撃に対しては普通のガラスと同程度と言われており、割れない訳ではありません。薪ストーブの扉に使われているガラスも何かの拍子で割れてしまうことがあります。

割れたガラスを修理するために、薪ストーブのメーカーに問い合わせてもレスポンスが悪かったり、廃番になっていて作れないと返答されたり、消費者が頭を抱えることが少なくありません。ガラス専門販売店「コダマガラス」の児玉社長の元には、そんな消費者から「薪ストーブの窓ガラスを作ってほしい」と多く相談が寄せられるそうです。

コダマガラスでは、法人向けから個人向けまで幅広い層に向け、インターネットでガラス・ミラー(ガラス鏡)の販売、内装用板ガラスや板ガラス加工品、アルミフロント及びステン・スチールサッシなどの販売施工を行っています。輸入ガラスや特殊ガラス等も取り扱っており、大阪本社のほか東京にも支店があります。幅広くガラス販売に関して消費者からの相談にも応じています。

「薪ストーブは季節ものなので、9月や10月などのそろそろ寒くなる時期に問い合わせが多いです。使わない時期にメンテナンスしたいと、夏にも少しですが問い合わせが入ることもあります」と児玉社長は語ります。

ガラス専門販売店「コダマガラス」の児玉雄司社長
ガラス専門販売店「コダマガラス」の児玉雄司社長

——耐熱ガラスと言っても、実は様々な種類があります。どのような耐熱ガラスが薪ストーブに適しているのでしょうか。

児玉社長「薪ストーブのガラスは、国内で流通している耐熱ガラスから選んでいます。耐熱性能だけを見ると石英ガラスが優れていますが、コストが高すぎて一般消費者には不向きです。当社では薪ストーブ向けであれば、日本電気硝子(以下、NEG)の超耐熱結晶化ガラスを一番にお薦めしています。耐熱性はもちろん、高熱になっているときに水が掛かっても、温度差が原因で割れる可能性がなく、安心して使用できます。また、超耐熱結晶化ガラスは切断などの加工がしやすいのも特徴の1つです。安全性の高い信頼できるメーカーの製品を選びつつ、サイズや厚さ、形状がストーブとちゃんと合っているか確認することが重要です

薪ストーブの窓には耐熱ガラスが使用されている
薪ストーブの窓には耐熱ガラスが使用されている

耐熱ガラスの種類

ここで、多様な種類のある耐熱ガラスについて、それぞれどんなガラスか簡単に説明します。

  石英ガラス 超耐熱結晶化ガラス 一般的な耐熱ガラス
特徴 ・非常に高い耐熱性 (1000°C以上の耐熱)
・価格が高い
・最上級クラスの耐熱ガラス
・通常の耐熱ガラスとは異なる成分と製法
・800°Cに熱して水をかけても割れない (熱衝撃に強い)
・二酸化ケイ素 (SiO2) と酸化ホウ素 (B2O3) などを混ぜて生成
耐熱性
用途例 産業用機器
産業用機器
薪ストーブ、防火窓
薪ストーブ、防火窓
レンジ使用可のコップ
レンジ使用可のコップ

石英ガラス

高純度の二酸化ケイ素(SiO₂)を主成分とするガラスです。非常に高い耐熱性(1000℃以上の耐熱)と低膨張率を持ち、急激な温度変化や化学薬品への耐性に優れています。

超耐熱結晶化ガラス ★児玉社長イチオシ!

特殊ガラスのトップメーカーであるNEGが展開する、最上級クラスの耐熱ガラスです。通常の耐熱ガラスとは異なる成分と製造方法で作られており、熱膨張係数がほぼゼロのため、800℃に熱した状態で水をかけても割れないほど熱衝撃に強いです。

一般的な耐熱ガラス

ガラスは熱を加えると膨張する性質があります。暖まった部分とそうでない部分に歪みが生じて、その力によって割れてしまいます。耐熱ガラスは、二酸化ケイ素(SiO2)と酸化ホウ素(B2O3)などをガラスに混ぜることで、熱による温度変化があっても膨張の度合いが低くなるように作られています。

NEGでは、超耐熱結晶化ガラスのブランドとして以下の3つを展開しています。

・薪ストーブ用:ネオセラム®
・耐火・防火ガラス窓用:ファイアライト®
・IHクッキングヒーターのプレート用:StellaShine®(ステラシャイン)

  • ファイアライト®は大型の薪ストーブ用ガラスとして使用されるケースもあります。
  • ネオセラム®は薪ストーブ以外にも食器などさまざまな用途に使われています。
特定防火設備として活躍するNEGの防火ガラス ファイアライト®
特定防火設備として活躍するNEGの防火ガラス ファイアライト®
NEGの結晶化ガラス StellaShine®(ステラシャイン)を使用した調理器トッププレート
NEGの結晶化ガラス StellaShine®(ステラシャイン)を使用した調理器トッププレート

ガラス窓が割れる理由と対処法

800℃の熱に耐えられるものもある耐熱ガラス。では、具体的にはどんな理由で割れてしまうのでしょうか。

——薪ストーブのガラスが割れる原因は何ですか?

児玉社長「燃えている薪が直接ガラスに当たっても、熱だけで割れることは基本的にありません。ガラスが割れるのはほとんどが衝撃によるものです。たとえば薪を入れたあと、薪が扉のガラス面よりも出ているのに扉を勢いよく閉めると、ガラスが薪に当たって破損することがあります。

また、ドア周囲のスチールがガラスに直接当たる場合も、バタンと閉めた時に衝撃でヒビが入ることがあります。ヒビが入ったガラスはそこから割れやすくなります。ドアの開け閉めはソフトに行いましょう」

——薪ストーブのガラスが割れてしまった場合はどうすればよいですか?

児玉社長「ガラスが割れた場合、そのまま使うのは止めてください。ガラスが割れるときは一気に放射線状に割れるか、あるいは端のほうにヒビが入って、使っているうちにそのヒビが伸びていって最終的に砕けるという、どちらかのパターンです。ヒビが入った段階で砕ける前に連絡していただければ、サイズや形状が分かりやすいので、交換するガラスを準備しやすくなります」

薪ストーブのドアガラスは四角形よりもアーチなどの角に加工のあるものが多く、コダマガラスではオーダーに応じてサイズや形状などをメールや電話で確認し、オーダーどおりにカットしてお客様にお届けしているそうです。

 NEG製超耐熱結晶化ガラスネオセラム®のガラス板
ネオセラム®のガラス板

薪ストーブのガラス窓のメンテナンス方法

薪ストーブにはシーズン終了時はもちろん、シーズン中も灰の除去、煙突掃除、ガラス拭きなどといった定期的なお手入れが必要です。

ガラス窓に煤(スス)やタールが付着するとせっかくの綺麗な炎が見えなくなってしまいますので、きれいに拭き取るとよいでしょう。薪ストーブ用のガラスクリーナーの中には、汚れを拭き取るだけでなく、ガラス表面に油分の被膜を作って汚れがつきにくくなる効果のあるものもあります。

ススが発生するのは、ストーブ内部の酸素が不足して燃焼温度が上がらず完全燃焼していないためです。煙突内に詰まりがあって空気の流れが阻害されている場合や、空気調整レバーやダンパーが正しい状態になっていない場合に起きやすくなります。本来なら煙突からスムーズに出ていく煙がストーブ内にこもることで、ガラスにススとなって付着します。

また、燃料の薪には十分に乾燥した硬木を使うとよいでしょう。薪の水分が多いと汚れが付きやすくなります。

ガラスのメンテナンスについて、児玉社長にも伺いました。

ガラス専門販売店「コダマガラス」の児玉雄司社長

——ガラスのクリーニングで気をつけた方がよいことはありますか?

児玉社長「ガラスは注意して使えばとても長く使える素材です。野ざらしになっていてもなかなか変色せず、耐久年数などは特に気にしなくて良いほど長持ちします。しかし、水垢は付きますし、付けば研磨しなくてはなりません。ススやタールが付いたらこまめに拭いて、水気もしっかり取りましょう

——ガラスが扉に付いたままクリーニングをしても大丈夫でしょうか?

児玉社長「扉の形状によってはガラスを外したほうが良い場合もあるので、注意してください。ガラスを外して掃除するときは、ガラスを固定する部分も忘れずに掃除してください。そこに異物が挟まっていると、使っているうちにガラスにヒビが入る原因になります」

NEG製超耐熱結晶化ガラスを使用した薪ストーブ
超耐熱結晶化ガラスを使用した薪ストーブ

本記事では、コダマガラスの児玉社長に、耐熱ガラスの特徴と薪ストーブのガラスの取り扱いについてお話しいただきました。
薪ストーブを利用している方はもちろん、薪ストーブの導入を検討している方もガラスの取り扱いで注意すべき点が整理できたのではないでしょうか。薪ストーブの魅力を存分に楽しむためにも、日頃のメンテナンスを心がけ、薪ストーブを安全に使用して素敵な冬をお過ごしください。

また、薪ストーブに使用する耐熱ガラスの選択肢として、超耐熱結晶化ガラスをぜひご検討ください。
本製品に関するお問い合わせは下記までお寄せ下さい。

株式会社コダマガラスWebサイト:https://kodama-glass.co.jp/

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