Glass-jin Storiesvol.6
特殊ガラスで、
感動や歓びある未来へ。
開発担当の横田は、難題に挑んでいた。
それは、温度変化に対して伸び縮みしない超耐熱結晶化ガラスの無色透明化。
結晶化に必要な成分が着色を引き起こすため、色をなくすことは半世紀以上もの間、極めて困難とされていた。原料の配合も必要な加熱処理の条件も星の数ほど組み合わせがあり、毎日がトライ&エラーの連続だった。
その日、横田は会社近くで開催される花火大会に行く予定だった。退勤前にできあがった試作品をチェックしようと炉を開けると、無色透明の物体が目に飛び込んできた。
「まさか」。花火そっちのけで様々な検査にかけてみると、それは紛れもなく念願の結晶化ガラス。
すべての確認を終え、生まれたてのガラス越しに、クライマックスを迎える打ち上げ花火を透かしてみた。それは、あまりにも色鮮やかだった。
世界初の無色透明のゼロ膨張結晶化ガラスは「セラピュア」と名づけられた。
新たな歴史は始まったばかり。
製品化を夢見て、横田の挑戦は続いていく。
特殊ガラスで、
感動や歓びある未来へ。