"もしも"から始まる科学の扉 ガラスの不思議に触れる特別授業
日本電気硝子では、環境、多様性、地域の3つをCSR活動の重要テーマとしています。特に地域については、次世代育成支援や社会支援の観点から一歩踏み込んだ活動ができればと考え、大津市科学館の講座「IF(イフ)クラス」に協賛し、地域の小中学生を対象とした出前授業を実施しています。
将来を拓くきっかけに!最先端の研究に触れるIFクラス
未来を担う子どもたちに、自分たちの将来を拓くきっかけにして欲しいと、大津市科学館が実施している「IFクラス」。滋賀県内の大学や企業などがそれぞれの研究や事業内容をテーマに授業を行い、身近な自然や日常生活に関連した科学技術に触れることができる人気の講座で、年に7回、小学校5年生~中学校3年生を対象に実施されています。
IFクラスの「I」はinnovation(イノベーション。それまでのモノに対してまったく新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出すこと)、「F」はfuture(未来)とfriend(友達)を表しています。ただ知識を増やすだけでなく、大学や企業の最先端の研究に触れ、新しい発見や刺激を得て、学校以外の新しい友達もつくってもらえればと、大津市科学館の指導員さんは言います。また、「IF」には「もしも」の意味も含んでいて、講座をきっかけに「もしも、自分ならこんな事をしてみたい、こんな事ができるかも」と考えてみてほしい…そんな思いも込められています。
当社では、大津市科学館が実施する、実験や工作などを楽しめる「サイエンス屋台村」という科学イベントに参加していたこともあり、2015年から「IFクラス」の講座を担当することになりました。講座ではガラスの用途や特性を学び、ガラスに触れることで、科学の楽しさを知ってもらうとともに、ガラスの魅力を知ってもらう非常に良い機会であると捉えています。
2018年からは夏講座と冬講座の年2回実施していますが、どちらも大変人気があり、多くの子どもたちに参加いただいています。この8月22日(木)には、大津市科学館2階の実験室にて夏講座を実施し、17名の参加がありました。
ふしぎなガラスの世界へ。「見えないガラス®」でフォトフレーム制作
今年度は「こんなところにこんなガラス ふしぎなガラスの世界を見てみよう」をテーマに、鉄球を落として強化ガラスの強度を確かめる「割れないガラス」、ガラスへの映り込みや光反射を大幅に少なくした「見えないガラス®」、フォルダブル(折りたたみ式)スマートフォンのディスプレイのカバーガラスに使用されている「折りたためるガラス」、光の屈折率を上げティアラに使用した「宝飾ガラス」など、不思議なガラスが私たちの普段の生活の様々な場所で使われていることを学んでもらいました。
また、手作りのガラス溶融炉の模型や原料サンプルに触れてもらいながら、ガラスができるまでの工程を理解してもらうとともに、後半の授業では「見えないガラス」を切ってフォトフレームを制作するガラスカットにも挑戦してもらいました。
ガラスは無限の可能性を秘めた素材
講座終了後、子どもたちからは「ガラスを割っても怒られない、貴重な体験ができて楽しかった」「プラスチックについて自由研究で調べているが、プラスチックにも糸状のガラスが入っているものもあり、リサイクルした方がいいと思った」「ガラスが身の回りの色々なところに使われているとわかって、ガラスについてもっと知りたいと思った。また、参加したい」といった嬉しい声が寄せられました。
近年、国からの研究に対する予算配分が、その時々にクローズアップされている応用に関連した研究に重点的に配分されるようになり、ガラスのような素材の研究、基礎研究に予算がつきにくくなりました。その影響から、ガラス研究に取り組む大学の研究室や研究者が減少してきているという課題はありますが、ガラスは現在のデジタル社会においても不可欠な極めて重要な素材です。リサイクル性に優れ、持続可能社会に有用な材料であるとともに、元素の組み合わせや製造方法により、多種多様な機能と形状を作り出すことができる無限の可能性を秘めています。
子どもたちには、身の回りにあるガラス製品を起点に、なぜガラスが使われているか、なぜ他の材料ではないのかなど、科学的な視点も含めて考えてもらい、座学と切断加工体験を通じて、「ガラスって何?」と聞かれた時に自分の言葉で説明してもらえるようになって欲しい。また、冬講座ではショールームの見学を行い、実際にガラスが使われている製品に触れてもらうことで、モノづくりの楽しさを感じてもらえればと思っています。
日本電気硝子では、これからも多くの子どもたちにガラスの魅力を伝えることで、次世代育成支援に繋げていきたいと考えています。