30年間の建築家との価値共創は次のフェーズへ
第1回NEG建築家セミナーを開催

2025.01.21
建築家の原田真宏氏を招き、第1回NEG建築家セミナーを開催

2024年11月に、「第1回 NEG建築家セミナー」を東京の建築会館で開催しました。このセミナーは、日本電気硝子(NEG)とグループ会社の電気硝子建材が30年にわたり開催してきた「空間デザイン・コンペティション」で培った建築家とのネットワークを活かし、建築家と建築界との持続的な対話を通して価値創造を目指す新しい取り組みです。初めての開催となる今回、著名建築家である原田真宏さん(MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 主宰/芝浦工業大学 教授)を講師にお迎えいたしました。

空間デザイン・コンペティションの歴代受賞者をはじめ、設計事務所や建設会社などから70名以上が参加。定員を上回る申し込みがあったためZoomでのオンライン配信も行い、全国から150名以上の方にご視聴いただきました。
イベントのレポートと共に、これまでのNEGの取り組みについてもご紹介します。

日本建築学会賞受賞の建築家、原田真宏さんの講演「風景の建築」

MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 主宰/芝浦工業大学 教授の原田真宏さん
MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 主宰/芝浦工業大学 教授の原田真宏さん

講師の原田真宏さんは、2004年に原田麻魚さんと共に「MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO(マウントフジアーキテクツスタジオ)」を設立。日本建築家協会 新人賞や日本建築大賞のほか、国内で最も権威ある建築作品賞といわれる「日本建築学会賞(作品)」など数多くの賞を受賞されている、若手からの支持があつい人気建築家です。現在、母校である芝浦工業大学 建築学部の教授も務めていらっしゃいます。

講演では「風景の建築」をテーマに、日本建築学会賞受賞作品である栃木県の「道の駅 ましこ」や、広島県尾道市にある造船会社の社宅「Seto」など、原田さん自身の手掛けた作品を紹介しながら、設計コンセプトや狙い、施工時のエピソードなども披露されました。さらに、地域社会に対する建築家のアプローチについて熱意を込めて語られました。

そのほか、島根県隠岐ジオパークのホテル「Entô」や、愛知県知立市の学童保育施設「知立の寺子屋 teracoya THANK」などにも触れ、建築の技術だけにこだわらず、船や車や飛行機の技術も含め、自然の中にある技術を建築技術に応用していくことの大切さや、伝統技術を残すことの重要さを訴えられました。

最後に、原田さんは「人間中心過ぎる考え方だけで建築物を作ると、自然の中の存在としての建築の側面が忘れられてしまいます。自然と調和しない人工物は生き残れません。自然の循環の中に自分の場所が持てる人工物を作ることができるのが、建築の魅力です」と話を結びました。

原田真宏さんの講演「風景の建築」の様子
原田真宏さんの講演「風景の建築」の様子

30年間続いた空間コンペが終了、新たな価値共創へ

2023年まで、30年間にわたってNEGが開催してきた建築アイデアコンペ「空間デザイン・コンペティション(以下、空間コンペ)」が終了。新たな企画として建築家セミナーをスタートさせました。

空間デザイン・コンペティションとは
日本電気硝子が 1994 年から 2023 年まで主催した建築アイデアコンペです。若手建築家の育成と新たなガラス建材の可能性を追求する場として、30 年にわたり建築界の発展に貢献してきました。多くの受賞者が現在第一線で活躍しており、主催者と参加者双方にとって、ガラスの新たな可能性を探求する貴重な機会となりました。
参考:空間デザイン・コンペティションの開催30回記念特設サイト

空間コンペは、建築を志す学生や若手建築家が自らを表現する貴重な場となり、現在、第一線で活躍する建築家も多く輩出しています。累計応募作品数は12,000点以上、受賞作品は570点以上にものぼります。今回の講師である原田真宏さんは、第25回と第26回空間コンペで審査委員を務めていただいたご縁もあり、講演が実現しました。

最後となった第30回空間コンペは「未来社会を切り拓く、21世紀のガラスの家」という課題のもと、建築家・藤本壮介氏(藤本壮介建築設計事務所 主宰)を審査委員長に迎えて開催しました。大学生から社会人までに至るまで、たくさんの応募がありました。最優秀賞には、廃ガラスと土と粘土を混ぜ合わせ、つなぎ合わされた空間をつくり、人間本来の自然に近しい生活を生み出すことを提案した、美しく意欲的な作品「うけとる、うけこむ」が選ばれました。
参考:第30回入賞作品一覧

第30回空間デザイン・コンペティション

NEG建築家セミナーの開催は、NEGの建築界への貢献や認知・価値の向上といった目的のほか、NEGが展開するガラス建材が建築家の発想によって新たなアイデアを獲得することを目指しました。さらにその可能性を最大限に引き出すため、建築家と設計事務所や建設会社などが、より広く深いつながりを得ることも重視しました。

新しい発想を引き出すNEGのガラス建材

会場には、NEG製のガラス建材展示コーナーを設けました。実際に製品を見て触れていただくことで、参加者にとっては建築設計の新たな発想につながる気づきの場に、私たちにとっては製品認知向上の機会となりました。

会場内の展示コーナーにてNEGのガラス建材製品に触れる来場者
会場内の展示コーナーにて製品に触れる来場者

展示品の中でも特に注目を集めたのが、30年以上の歴史を誇る耐熱結晶化ガラス「ファイアライト®」をはじめとする防火ガラスです。安心・安全な空間づくりに最適な、特定防火設備の認定を新たに受けた耐熱合わせガラス「ファイアライトプラス® ネオ」や、ファイアライト®を使用した、アルス社の国内初の木製枠特定防火設備「夢まど」、パイロシステム社のFIX窓「スリムスクリーンF+Ⅱ(エフプラスツー)」なども、新しい建築商材に敏感な来場者の関心を集めていました。

スリムスクリーンF+Ⅱ(エフプラスツー)・ファイアライトプラス® ネオ
スリムスクリーンF+Ⅱ(エフプラスツー)(左)・
ファイアライトプラス® ネオ(右)
夢まど
夢まど

このほか、光をとおす壁をつくり、断熱性・遮音性の高さと意匠性を両立させたガラス建材「ガラスブロック」、厚さ50㎜の薄型ガラスブロックをステンレス製枠に組み込んでパネル化し、簡易施工を可能にする「ハウスパネル」、レンガのような素材感をもち、光を演出する空間装飾材「グラソア®」、吸水率がほぼゼロで、耐候性・耐久性に優れた結晶化ガラス壁装材「ネオパリエ®」などを展示しました。

ガラスブロック・グラソア®・ネオパリエ®・ハウスパネル
左上から、ガラスブロック・グラソア®・ネオパリエ®・ハウスパネル

NEGは建築界の後援者でありたい

参加者からは「原田先生の信念や覚悟の伝わる良い講演だった」「技術をオープンソース化し、自分で囲い込まない先生の姿勢に敬意を感じた」「一人にフォーカスしたセミナーは最近少なくなってきているので、ぜひ来年も続けてほしい」などの感想が聞かれました。

講演の冒頭では、原田真宏さんから「NEGは長年にわたり建築家や建築文化を支え続けている、後援者として重要な存在です。今回、第1回建築家セミナーの講師にお招きいただき大変光栄です」とのコメントをいただきました。

NEGと電気硝子建材は、今後も「NEG建築家セミナー」を通じて建築家との密接な対話の機会を設け、製品開発や新たな活用方法の可能性を共に探っていきつつ、継続的に建築界に貢献していきたいと考えています。
製品に関するお問い合わせは下記までお寄せ下さい。

また、電気硝子建材のwebサイトでは、ガラス建材を使用した施工事例をご覧いただけます。
https://www.negb.co.jp/gallery/

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