「スピードあるモノづくり」で、市場の変化に即応
東日本大震災により被災された皆さまに謹んでお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
’10年度は、前半の好調な業績に支えられ、おかげさまで売上・利益ともに過去最高を更新することができました。しかしながら、’11年度は、震災後の混乱や原発からの放射線漏洩問題などにより、日本経済の先行きに不透明感が強まる中でのスタートとなりました。一方、世界に眼を向けると、中国をはじめとする新興国が急速に経済力を強めており、我々日本企業は、震災による厳しい環境に置かれながらも、これらの国々と競争していかなければなりません。このような状況にあっては、いかなる経済情勢の変化にも迅速かつ柔軟に対応できる体制の構築が重要です。普段から市場の調整期にやるべき課題を持ち、いざという時に素早く生産のブレーキをかけて設備を改善し生産能力を高めておけば、来るべき回復期に一気にアクセルを踏み込み生産量を引き上げ、拡販につなげることができます。’11年度は、生産のアクセルとブレーキを上手に利かせた「スピードあるモノづくり」で、市場の変化やニーズに即応していきます。
2011年度の重点的取り組み(ノンディスプレイ分野を拡大し、バランスの取れた事業構造へ)
ディスプレイ分野については、液晶用基板ガラスの薄板化への対応を積極的に推進すると同時に、なお一層の生産性の改善に力を入れていきます。一方、ノンディスプレイ分野の拡大は、ディスプレイ偏重の当社の事業ポートフォリオを改善するために重要な施策です。ノンディスプレイの拡大を目指し、本年4月に執行体制と組織の一部を再編するとともに事業面でいくつかのアクションを打ちました。ガラスファイバでは、マレーシアの新設備を活用し、欧米や新興国における自動車分野向けの需要拡大に対応しています。建材分野では、開発から生産までを一貫して行える体制を整えました。今後、積極的な販売を展開していきます。医療用ガラスでは、先々の増加が期待される新興国需要に対応するべく、マレーシアで医薬用管ガラスの新設備の稼働を開始しました。PET(陽子線断層撮影法)診療など先端医療施設に用いられる放射線遮へい用ガラスとともに拡販に注力していきます。このほか、スマートフォンなどのカバーガラスに用いられる化学強化専用ガラスと太陽電池用基板ガラスの市場に参入しました。これらの新規事業の伸張に期待しています。
持続的成長に向けて
主力の薄型パネルディスプレイ(FPD)用ガラスは、これまで国内でのモノづくりを中心に事業を展開してきましたが、今後は海外の需要動向やBCM(事業継続マネジメント)の観点から、事業拠点のリスク分散のあり方などを十分踏まえ、最適地での生産体制を検討していく必要があると考えています。研究開発では、「次世代ディスプレイ」「新照明」「エネルギー」などの成長期待分野に一層注力します。「次世代ディスプレイ」では有機EL用など、「新照明」ではLED用蛍光体ガラスや有機EL照明用ガラスなどの開発を進めています。「エネルギー」では、太陽熱発電用ミラーに続き、前述の太陽電池用基板ガラスを市場に投入しました。また、このほど開発拠点として新設した「P&P技術センター」を活用し、新製品や新プロセスの開発を行い、新規事業の育成を加速していきます。
当社が目指す社会貢献
当社の社会貢献の基本は、「社会に役立つ製品を提供する」「地域の雇用を守る」「利益を創出し税金をきちんと納める」ことにあると考えます。これらをベースに当社では「障害者雇用」「地元貢献」「環境保全」をCSR(企業の社会的責任)の重要課題に位置づけています。「障害者雇用」では、’10年度に、かねてより目標としていた「法定(1.8%)の2倍」を上回る雇用率(3.7%)を達成することができましたが、数字のみを追求するのではなく、障害を持つ方の職場環境の整備や働きがいを感じる職場作りに地道に取り組みます。「地元貢献」では、将来を担う人材の育成支援に力を入れており、地元滋賀県立大学との産学連携事業や寄附講座の運営等を行っています。また、「環境保全」では、ロスのない理想的なモノづくりが省エネ・省資源につながり、結果として環境保全に資するという考えのもと、CO2の削減や原料のリサイクル、環境影響物質の使用削減などを進め、地球環境や自然の保護、生物多様性の保全に取り組んでいます。
最後に
「モノづくり」「開発力」「経営基盤」の3つがしっかりしている企業が当社の目指す企業像です。「モノづくり」と「開発力」で今後も社会に役立つ製品を次々と世に送り出していきたいと思います。これらの継続的取り組みによる会社成長は、強固な「経営基盤」があるからこそ可能であると認識しています。この観点から、キャッシュ・フロー重視の経営を推進し、企業体質の強化を図っていきたいと思います。同時に、株主の皆さまへの利益還元もまた重要な経営課題と考えています。’10年度は、前年度に比べ1株につき年間2円の増配を行った結果、実質的に7期連続の増配ができました。今後も財務状況や業績動向を考慮しつつ、長期的に安定した利益還元が継続できるよう事業活動に精励してまいります。
取締役会長 井筒 雄三
社長 有岡 雅行
