持続的な成長・発展に向けて
11年度は、欧州問題を背景としたマクロ経済の悪化や国内の電力問題など、厳しい事業環境が続く中、当社の業績も前年度を大きく下回る結果となりました。12年度も先行き不透明な状況下でのスタートとなりましたが、業績の回復に全力を傾注してまいる所存です。同時に、主力のディスプレイ分野では高度化する技術に対応するとともに生産体制を強化し、ノンディスプレイ分野では選択と集中を図り世界市場で拡大が見込める分野に注力することにより、将来の持続的な成長・発展へとつなげてまいりたいと存じます。
2012年度の重点課題
ディスプレイの分野では、液晶用ガラスで薄板(0.5mm以下)の需要が急増しています。11年度は、設備の薄板化対応や薄板生産の歩留まり向上に注力してきましたが、12年度は薄板生産によるコスト面での成果を収穫していくとともに、高機能化・高精細化などのディスプレイの技術進化に即応し、拡販につなげてまいります。こうした中、フラットパネルディスプレイ用ガラスの溶融・成形工程を持つ製造拠点としては、当社初となる海外工場を最大の需要地である韓国に設けることにいたしました。生産体制の強化、技術要求への迅速な対応のほか、拠点の一極集中リスクの軽減にも資するものと考え、13年秋の操業開始に向けて取り組んでまいります。
ノンディスプレイの分野では、世界市場で拡大が見込める分野に焦点を合わせ、能力の拡充を進めてきました。ガラスファイバでは、ハイブリッド車や電気自動車など、車の進化に対応した高機能樹脂部品向けの需要が増加しています。耐熱ガラスでは、遮熱性や安全性など優れた特性を持つ防火設備用ガラスで販売開拓の余地が十分にあると考えています。医薬用管ガラスでは、経済発展が続く新興国で需要の増加が期待されています。これらの分野において、増強した能力をフルに活用し、拡販に取り組んでまいります。
中長期的展望
ディスプレイ市場では、有機ELの本格的な登場が期待されており、当社は基板ガラスの量産出荷に積極的に対応していくとともに、レーザー照射を用いた有機EL素子の封止材の開発にも注力しています。一方、更なる市場の拡大のためには、大型ディスプレイにおける革新的な技術進化が求められるでしょう。ガラスにおいても、基板ガラス、大画面のカバーガラス、タッチパネルへの展開など、ディスプレイに関連したあらゆる分野で進化していかねばなりません。ガラス製品の開発を推進し、ディスプレイの成長を材料面で後押ししてまいります。
ノンディスプレイの分野では、中長期的には市場の裾野が広い板ガラスの領域を拡大したいと考えています。超薄板、超耐熱、放射線遮蔽、化学強化など、様々な特性を持つガラスに、薄膜、樹脂、金属などを複合し付加価値を更に高め、他社が真似できない製品をグローバルに事業展開したいと思います。また、足下では開発品種が育っています。高輝度LED用蛍光体ガラスは、車載向けに販売を開始しました。薄板技術を応用した液晶レンズは、防犯カメラ向けの需要が期待され事業化を急いでいます。薄膜では、「見えないガラス」(超低反射膜付ガラス)が様々な分野からお引き合いをいただき、製品化に向けた取り組みを進めています。
社会貢献活動(CSR)、事業継続計画(BCP)の取り組み
当社では、「地元貢献」「環境保全」「障害者雇用」をCSRの重要なテーマとして取り組んでいます。
「地元貢献」では、将来を担う人材の育成支援に力を入れており、12年4月に滋賀県立大学との産学連携の包括協定を延長、寄附講座を継続しました。「環境保全」では、資源リサイクルやCO2削減などを通じ、自然環境保護や生物多様性の保全に取り組んでいます。11年度には、排ガス処理により得られた生成物をガラス原料として再利用するシステムを構築しました。「障害者雇用」では、法定(1.8%)の2倍を上回る障害者雇用率(3.7%)を2年連続で達成しました(12年3月末)。
BCPについては、東日本大震災を契機として、人命最優先、近隣への被害拡大阻止、早期復旧のための設備保全を重点に建物の耐震性や電力供給、生活物資の備蓄など、様々な観点から検討を重ねてまいりました。大規模停電など万一の事態に備え自家発電設備を増強し電力のバックアップ体制を整えたほか、緊急時における従業員の対応訓練も実施しています。
最後に
12年度についても引き続き厳しい事業環境が続くものと思われますが、目の前の課題を一つ一つ着実に解決していくことで企業体質を強化するとともに、技術の研鑽に努め社会に役立つ製品を提供していくことで将来の成長へとつなげてまいります。同時に、株主の皆様への利益還元もまた重要な経営課題と考えています。11年度につきましては、配当を1株につき年間15円(前年度比+2円)とさせていただき、8期連続の増配とすることができました。今後も、長期的に安定した利益還元を継続できるよう、事業活動に精励してまいる所存です。
取締役会長 井筒 雄三
社長 有岡 雅行
