“全固体電池”オール酸化物全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池

全固体電池 オール酸化物全固体Naイオン二次電池

※本記事は、2023年3月15日~17日に東京ビッグサイトにて開催された二次電池展(バッテリー ジャパン)2023で発表した内容を要約したものです。掲載内容は2023年3月現在の情報になります。最新の開発状況・製品に関するお問い合わせはお手数ですが、ページ下部のお問合せフォームより送信してください。

全固体Naイオン二次電池の特長

オール酸化物の全固体Naイオン二次電池は、小型・大型、特殊・汎用を問わず、幅広い用途を想定した全固体二次電池です。
「オール酸化物」という名のとおり、主要部材(正極、負極、固体電解質)をすべて安定な物質である酸化物材料で構成した全固体二次電池です。当社の独自技術であるガラスの軟化流動を用いた強固な一体化を実現し、非常に良好なイオン伝導パスを形成しました。

採用のメリット

  • 1

    オール酸化物のため、
    発火や有毒ガス発生のおそれがない

  • 2

    低温(-40℃)から高温(200℃)まで
    安定して作動する

  • 3

    付帯設備が不要で、
    電池パックの構造を簡素化できる

全固体Naイオン二次電池の構造 イラスト

全固体Naイオン二次電池の構造
出力電圧:3V


主な性質について

1
優れた安全性 発火や有毒ガス発生のおそれがない

全固体Naイオン二次電池は、全ての電池材料が無機酸化物で構成されています。そのため、充電状態で釘や刃が刺さっても発火や有毒ガス発生のおそれがありません。また、定められた電圧を超えて充電してしまう過充電状態でも、電池が爆発する心配はありません。

短絡しても燃えない(釘刺し試験)

20Vでも燃えない(過充電試験)

2
広い作動温度 作動温度範囲 -40℃〜200℃

ガラスの軟化流動性を利用し電極と固体電解質を一体化することで高いイオン伝導性を実現しています。これにより、低温-40℃から高温200℃まで幅広い温度域で作動します。

全固体電池 作動試験 低温(-40℃)時
< -40℃に設定した恒温槽内 >

全固体電池 作動試験 高温(200℃)時
< 熱したシリコーンオイルへ浸漬(耐熱パッケージ仕様) >

Naイオン伝導性

3
構造の簡素化 無拘束+自由なアレンジ+冷却・安全機構不要

正極・固体電解質・負極が強固に一体化した全固体Naイオン二次電池の蓄電素子は、無拘束でも作動します。さらに蓄電素子を集積することで高密度で高出力な電池を実現できます。

また、電池を大型化する上で課題となる「冷却」や「安全のための付帯設備」、「加圧機構・拘束機構」が簡素化できます。そのため、搭載場所の制約がなく、設計の自由度が向上します。

無拘束で作動

蓄電素子(単セル)集積イメージ


用途例

小型・大型、特殊・汎用を問わず
幅広い用途を想定して開発しています。

  • 自動車・輸送用機器(EV・鉄道・船舶・航空機、等)
  • 農業用機械、建設系機械、産業用機械
  • 発電所内の蓄電システム、定置型蓄電池システム、家庭用蓄電池、等
  • 情報通信機器・家電(スマートフォン、タブレット端末、PC、 ウエアラブルデバイス、等)

全固体Naイオン二次電池を搭載した
お掃除ロボット作動展示

※本展示は、2022年に東京ビックサイトにて開催された二次電池展(バッテリー ジャパン)2022で発表した内容です。

アプリケーション
ルンバ(お掃除ロボット)
電池仕様
電池容量(Ah)/パック 2
蓄電素子数/パック 200
電圧(V)/パック 3
パック数量 10
電圧(V) 15

全固体Naイオン二次電池これまでの取り組み

2017

室温駆動に成功

正極に結晶化ガラスを用いた全固体Naイオン二次電池の室温駆動に成功※1

※1 結晶化ガラスを正極材に用いた例として 2017年11月時点(当社調べ)

2019

低温駆動(0℃)に成功

電池内部の電気抵抗を大幅に低減し、低温環境を想定した条件下での電池駆動に成功しました。

2020

論文がScientific Reportsに掲載

開発の成果をまとめた論文がNature Research社のScientific Reportsに掲載され、2020年に最も多くダウンロードされた論文のトップ3に選出されました。

2021

オール酸化物電池の開発に成功

新たに結晶化ガラスを用いた負極材を開発し、オール酸化物の全固体ナトリウムイオン二次電池の駆動に世界で初めて成功しました。※2

※2 2021年11月時点(当社調べ)


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