NEGの歩み
1949年の創立以来、半世紀を越えて、当社はひたすらガラスの技術を磨き、「文明の進歩が求めるガラス」を手掛けてきました。ブラウン管から液晶/有機ELに変遷したディスプレイをはじめ、ICT、自動車、医療、照明などの分野でキーパーツとなる特殊ガラスを開発・供給し、私たちの暮らしを豊かなものにしてきました。 また、国内の事業場をコアに、ニーズに応えて世界の需要地に事業拠点を展開、さらには市場構造の変化に対応して事業構造の転換を推進してきました。当社は、これからも世界最高水準のモノづくりを追求し、世界のニーズに応えていきます。
1944―1959 創立から事業基盤づくり
1949年に日本電気から分離独立し、真空管用ガラスや管ガラスを手吹きで生産しました。1951年、ダンナーマシンによるガラス管の自動成形に成功、1956年にタンク炉による連続生産に移行し、管ガラスによって事業基盤を築きました。
年 | 製品と技術開発 | 事業展開 |
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1944 | 昭和19年10月31日、日本電気(株)などの出資により設立 戦後、設備を同社に貸与し活動を休止 |
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1949 | 昭和24年12月1日、同社より分離独立(この日を実質上の会社創立の日としている) |
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1951 | ダンナーマシンによる管ガラスの自動成形に成功、量産を開始 |
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1956 | 大型タンク炉による生産(ガラス溶融)を開始 粉末ガラス生産開始 |
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1958 | 放射線遮蔽用ガラスの生産開始 |
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1959 | ガラスブロックの生産開始 |
藤沢工場(後に、藤沢事業場と名称変更)開設 |
1960―1989 CRTの時代
1965年、ブラウン管用ガラス事業に進出。以来、日本のテレビおよびブラウン管産業の発展とともに成長してきました。前後して、結晶化ガラスや建築用ガラスブロック、電子部品用ガラス、ガラスファイバなどの生産を開始し、ブラウン管用ガラスを主力とする世界有数の特殊ガラスメーカーに成長しました。
年 | 製品と技術開発 | 事業展開 | ||||
1960 | 米国オーエンズ・イリノイ社からガラス管製造技術を導入 | |||||
1962 | 超耐熱結晶化ガラス〈ネオセラム〉を開発 | |||||
1963 | 米国オーエンズ・イリノイ社からCRT用ガラス製造技術を導入 | |||||
1964 | ダイオード用ガラスの生産開始 | 滋賀高月工場(現、滋賀高月事業場)開設 | ||||
1965 | 白黒CRT用ガラスの生産開始 | |||||
1968 | カラーCRT用ガラスの生産開始 | |||||
1971 | 能登川工場(現、能登川事業場)開設 | |||||
1973 | 結晶化ガラス建材〈ネオパリエ®〉を開発 | 東京、大阪両証券取引所(市場第二部)に上場 | ||||
1974 | LCD用ガラス、耐熱ガラス〈ネオレックス〉の生産開始 | |||||
1976 | ARGファイバ、Eガラスファイバの生産開始 | |||||
1977 | 動力炉・核燃料開発事業団の委託を受け、高レベル放射性廃液ガラス固化技術の研究に着手 | |||||
1980 | 真空式ソーラーコレクタの生産開始 | |||||
1981 | 光コネクタ用ガラスキャピラリーの生産開始 | |||||
1983 | 東京、大阪両証券取引所第一部銘柄に指定替え | |||||
1985 | 37インチ超大型CRT用ガラスの生産開始 | |||||
1986 | Dファイバの生産開始 超LSI封着用低融点粉末ガラスを開発 |
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1987 | 連続リドロー法による薄板ガラスの量産開始 TFT液晶用無アルカリ基板ガラス、イメージセンサ用カバーガラス、光通信用球レンズ、半導体レーザ用ガラスの生産開始 |
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1988 | 防火設備用超耐熱ガラス〈ファイアライト®〉を発売 | 米国でCRT用ガラス事業を合弁で開始(1993年に100%子会社化) | ||||
1989 | 光通信用球レンズ部品を開発 | 米国の駐在員事務所を子会社化し、同国での販売体制を整備 精密ガラス加工センター開設 |
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1990―1999 海外展開の時代
90年代に入ってブラウン管メーカーの海外進出や世界需要の拡大に対応し、グローバルな生産体制を整えました。一方、90年代後半より平面ディスプレイが台頭し始める中、フロート法によるPDP用基板ガラスの生産を開始しました。
年 | 製品と技術開発 | 事業展開 |
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1991 | 若狭上中事業場開設 マレーシアでCRT用ガラス事業を開始 環境憲章を成文化 |
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1993 | 溶融炉に酸素燃焼方式を導入 | |
1995 | PDP用基板ガラスの生産開始 Hファイバの生産開始 |
欧州(英国)でCRT用ガラス事業を開始 |
1996 | LCDバックライト用管ガラスの生産開始 |
インドネシアでCRT用ガラス事業を開始 マレーシアで管ガラス事業を開始 |
1997 | 光コネクタ用結晶化ガラスフェルールを開発 | 中国(河北省)でCRT用ガラス事業を合弁で開始 |
1998 | 使用済みテレビから回収されるガラスのリサイクルシステムを確立 フロート法によるPDP用基板ガラスの生産開始 |
マレーシアでガラスファイバ事業を開始 メキシコでCRT用ガラス事業を開始 |
1999 | 全事業場一括でISO14001認証取得 | マレーシアで耐熱ガラス事業を開始 |
2000―2009 FPDの時代
フラットパネルディスプレイ(FPD)市場の急成長に対応するため、2000年よりオーバーフロー法によるLCD用基板ガラスの生産を開始しました。基板の大型化や高品質化など、年々高度化するFPD市場の要求に対応しました。
年 | 製品と技術開発 | 事業展開 |
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2000 | オーバーフロー法によるLCD用基板ガラスの生産開始 | 中国(福建省)でCRT用ガラス事業を開始 |
2001 | インラインスパッタリングによるITO膜付PDP基板ガラスの生産を開始 | |
2002 | 光通信用Dレンズ・コリメータコンポーネントを発売 | |
2003 | 光デバイス用超小型プリズムの量産技術を開発 負熱膨張基板<CERSAT®>を開発 |
韓国(亀尾市)でLCD用基板ガラスの加工事業を開始 |
2004 | 乳がん診断装置向け鉛フリーの放射線遮蔽用ガラス<LFX-9>を開発 | 米国・メキシコのCRT用ガラス生産を停止 台湾でLCD用基板ガラスの加工事業を開始 |
2005 | 第7.5世代LCD用基板ガラスの出荷開始 ガンマ線遮蔽用ガラス<Pro-GR®>開発 極細ガラス繊維紡糸技術開発 大板直接ロール成形技術開発 オーバーフロー法による100μm厚の超薄板ガラスの製造に成功 |
欧州のCRT用ガラス生産を停止 |
2006 | ダイオード用鉛フリーガラス管を開発 微量環境負荷物質分析の国際的認証(ISO/IEC17025)を取得 第8世代、第8.5世代LCD用基板ガラスの出荷開始 二酸化炭素排出枠の国内企業間で初の取引成立 |
韓国(坡州市)でLCD用基板ガラス事業を合弁で開始 日本国内のCRT用ガラス生産を停止 中国(河北省)の CRT用ガラス合弁事業を解消 |
2007 | オーバーフロー法による50μm厚の超薄板ガラスの製造に成功 半球状の光通信デバイス用レンズを開発 化学強化専用ガラスを開発 |
滋賀県立大学と産学連携の協力推進のための包括協定を締結(継続中) インドネシアのCRT用ガラス生産を停止 中国(上海市)でLCD用基板ガラスの加工事業を合弁で開始 |
2008 | 環境負荷物質を含まないLCD用基板ガラス<OA-10G>を開発 50μm厚の超薄板ガラスのロール巻きを実現 |
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2009 | “くもり”の発生しない放射線遮蔽用鉛ガラス<LXプレミアム>を発売 高性能紫外光カットガラスを開発 太陽熱発電に用いられる世界最大で高性能の太陽光反射ミラーを販売開始 世界最薄の30μmガラス基板リチウムイオン二次電池を岩手大学工学研究科と共同で実現 リドロー法を用いた極薄ガラスリボンを開発 |
中国のCRT用ガラス生産を停止 |
2010―2014 新たなる成長軸の構築
FPD用ガラスの成長が減速するなか、高機能樹脂強化用ガラスファイバや医薬用管ガラスなどの事業を拡大しました。
また、太陽電池用基板ガラスやスマートフォン用カバーガラス、蛍光体ガラスなどの新製品が上市され、ガラスリボンやゼロ膨張ガラスなどのユニークな製品の開発が進展しました。
年 | 製品と技術開発 | 事業展開 |
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2010 | 太陽電池用基板ガラスの生産開始 | |
2011 | 宇宙太陽光発電システム用に超薄型軽量ミラーをJAXAに納入 化学強化専用ガラスの量産開始 |
マレーシアで医薬用管ガラスの生産開始 滋賀高月事業場内にP&P技術センター高月を開設 ドイツに子会社「Nippon Electric Glass Europe GmbH」を設立 |
2012 | 見えないガラス®の販売を開始 | |
2013 | ゼロ膨張ガラス ZERØ®を開発 |
大津事業場内にP&P技術センター大津を開設 韓国(坡州市)でFPD用ガラスの溶融・成形事業を開始 |
2014 | モバイル端末用カバーガラスの新ブランド Dinorex®を立ち上げ 石英ガラスと同等の熱膨張係数をもつ結晶化ガラス<VitroQuartz>を開発 |
中国(広州)でFPD用ガラスの加工事業を開始 能登川事業場内に合弁会社「OLED Material Solutions株式会社」を設立 CRT用ガラスの成形生産を終了 |
2015― さらなる成長を期して
さらなる成長を期して、2015年に企業理念体系を再構築し、2016年から3か年の「中期経営計画」に取り組み始めました。こうした中、ガラス繊維事業拡大のため、米PPG社から2016年に欧州の、2017年に米国の拠点を買収しました。この結果、同事業はFPD用ガラス事業とともに会社を支える主力事業になりました。
年 | 製品と技術開発 | 事業展開 |
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2015 | 世界最薄の赤外線吸収フィルターを開発 さまざまな熱膨張係数に対応する半導体用サポートガラスを開発 |
藤沢事業場を閉鎖 中国(厦門)でFPD用ガラスの溶融・成形事業を開始 企業理念体系を再構築 |
2016 | 調理器トッププレート用超耐熱ガラスの新ブランドStellaShine®の立ち上げ セラミックス封止用レーザーガラスフリットを開発 |
初の中期経営計画「EGP2018」スタート 中国(南京)でFPD用ガラスの加工事業を開始 PPG Industries, Inc.の欧州ガラス繊維事業を取得 若狭上中事業場を閉鎖 |
2017 | 熱可塑性樹脂強化用フラットガラスファイバを開発 医薬用管ガラスの新材料を開発 結晶化ガラスを用いた全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池を開発 |
PPG Industries, Inc.の米国ガラス繊維事業を取得 |
2018 | 高効率の深紫外線透過ガラスを開発 世界最高の可視光透過率を持つ赤外線吸収フィルターを開発 高コントラストのディスプレイカバーガラス用成膜材料を開発 磁気光学ガラスを用いた世界最小の高出力ファイバレーザ用光アイソレータを開発 |
滋賀県の森林組合の「J-クレジット」を購入、地元の環境保全に貢献 米国ガラスファイバ拠点の生産能力を増強 |
2019 | 世界最高性能の赤外線透過ガラスを用いた赤外線用レンズを開発 スマートグラス用基板ガラスとして世界最高性能を達成 セラミックスの高精細造形を可能にする3Dプリンター用ペーストを開発 5G全面反射防止膜付き微小ボールレンズの量産技術確立 無鉛で380℃封止可能な低融点ガラスフリットを開発 |
中期経営計画「EGP2021」を策定 「しが生物多様性取組認証制度」において最高評価(3つ星)を取得 「びわ湖フローティングスクール事業」のネーミングライツパートナー契約を滋賀県と締結 LTCC事業の合弁会社を設立 |
2020 | 世界初、ガラスビーズで透光性のある3Dプリンター造形品を実現 全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池の実用レベルの性能を実証(Nature Research 社 Scientific Reports に論文掲載) フォルダブルディスプレイのカバーガラス用に世界最薄ガラスの開発に成功 5G対応、業界最小の誘電正接を有するLTCC用材料の開発 |
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2021 | 光学デバイス用パッケージ向けのシール材付きリッドを開発、製品化 世界初、無色透明のゼロ膨張結晶化ガラス セラピュア®を開発 世界最高の光取り出し効率をもつキャップリッドを開発・製品化 5G通信時代へ向けて低損失LTCC用材料を開発 世界初、オール酸化物全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池を開発 |
滋賀県造林公社と「びわ湖・カーボンクレジット」パートナー協定を締結 滋賀県内の子ども食堂へ書籍を贈呈 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明 |
2022 | 水素-酸素バーナーを用いた燃焼技術によるガラス溶融に成功 5G無線通信エリアを拡大する新製品を開発 宝飾ガラスinfiora®、ブライダル業界でビジネス開始 |
中期経営計画「EGP2026」を策定 京都大学とガラス基礎研究の寄附講座開設に合意 |
2023 | 世界初、結晶化ガラス固体電解質を用いたオール結晶化ガラス全固体ナトリウムイオン二次電池を開発 特殊ガラスを用いたレンズアンテナが、バスの自動運転・隊列走行の実証実験に採用 |
滋賀高月事業場でメガソーラーシステムの稼働を開始 太陽光発電によるVPPA(仮想電力購入契約)を初締結 |
2024 | ガラスセラミックスコア基板<GCコアTM>を開発 |
新中期経営計画「EGP2028」を策定 |