航空宇宙

航空・宇宙産業において、ガラスは耐久性に優れた重要な素材として活躍しています。

航空・宇宙産業では、ガラスは重要な役割を果たしています。航空機のカメラレンズ、衛星の観測装置などには高い耐久性と透明性が求められます。ガラスは耐熱性、寸法安定性、光学特性の点で優れており、さまざまな要求に対応できます。さらに、ガラスはその特性を活かして、人工衛星の太陽光パネルを保護するカバーとして使用されています。航空・宇宙産業の進歩に伴い、ガラスの開発も進んでおり、より高性能なガラス製品が求められています。

アプリケーション

人工衛星搭載太陽電池パネルカバー

衛星およびHAPSの地上からの距離と紫外線

近年、通信の分野で低軌道衛星(LEO)やHAPS(High Altitude Platform Station)が注目を浴びています。低軌道衛星は地球から約2,000キロメートル以内の軌道を周回する衛星です。打ち上げにかかるコストの低下により、インターネット接続を提供するための新しい手段として注目されています。一方、HAPSは、高度約20キロメートルの成層圏内で長期間滞空し、通信や観測を行う無人航空機です。HAPSが注目を浴びている理由は、地上インフラが整っていない地域や災害時の通信手段として有効であり、低コストで広範囲をカバーできる点にあります。
これらの分野において、紫外線遮蔽性能をもつ超薄板ガラスは重要な役割を果たすことが期待されます。その特長の一つは、紫外線から太陽電池を保護する能力です。低軌道衛星はもちろんHAPSの飛行高度である成層圏も太陽からの強い紫外線が届くため、太陽電池に損傷を与える可能性があります。紫外線遮蔽性能をもつ超薄板ガラスは、紫外線を効果的にカットすることで、太陽電池を守ります。

超薄板ガラスと普通のガラスの重さ比較

さらに、当社のガラスは軽量性も備えています。1m2あたりの重さが従来のガラスの1/20以下になるため、機体の軽量化に貢献します。低軌道衛星においてはペイロードの最大化、HAPSにおいては機体のエネルギー効率を高め飛行時間の延長と消費電力削減を実現し、低コスト化に貢献します。

通信・計測

宇宙を「視る」。X線や電波、赤外線など全波長域にわたる観測手法の確立や宇宙望遠鏡の登場などにより、天文学は大きく進展してきました。中でも観測装置の高性能化は重要な課題ですが、高い屈折率を持つ光学材料を用いることで、分高性能が飛躍的に高くなります。遠赤外線透過ガラスに使用されているカルコゲナイドガラスは、高屈折率を持つ光学材料の一つです。当社のカルコゲナイドガラスはヒ素・セレンを含まないグリーンな遠赤外線透過ガラスレンズに使用されています。さらにプレス加工のほか、研磨・切削加工などにも対応でき、設計から加工・組立まで、社内一貫対応が可能な光学材料です。当社のガラスが次世代宇宙望遠鏡への搭載され、宇宙の理解に貢献できる未来を期待しています。


宇宙に「高品質な光を届ける」。光衛星間通信システムは光を利用して地上と宇宙の間でデータ通信を行う技術です。この技術では、地上から打ち上げられた衛星が光を用いて通信を行います。高速かつ正確な光通信を実現するためには、光信号の進行方向を正確に合わせることが重要な課題になります。マイクロプリズムを用いることで光信号の進行方向の精度および強度調整が可能になります。当社のマイクロプリズムは、豊富な形状バリエーションがあり、反射防止膜、高反射膜、偏光ビームスプリッターなどの多様なコーティングに対応いたします。信号の減衰や歪みを補正し、高品質な通信の確保に貢献しています。