社会インフラを支える最先端ガラスの力!

社会インフラ

自然災害や火災から、人々の命や財産を守る。
社会インフラの老朽化という社会問題に対応する。
それはガラスの新たな役割、進んだ力。

東日本大震災や熊本地震、さらにはゲリラ豪雨など、日本列島では自然災害が多発しています。
また、糸魚川大規模火災は「火の力」の恐ろしさを改めて私たちに見せつけました。
人々の命と財産を守る「防災・減災」は時代のキーワード。道路やトンネル、橋梁などの社会インフラの老朽化対策も大きな社会課題です。
今、さまざまな角度から進む災害対策や国土強靭化への取り組み。ビルや住宅に関しては、耐震性や防火性能の向上などの
「強さ」が求められる一方、建築デザインの観点からは洗練された「機能美」にも注目が集まります。

こうした時代のニーズに対応する材料として大きな役割を果たしている特殊ガラス。
そのエキスパート、日本電気硝子は土木・建築資材の材料から最終製品のガラス建材まで、幅広い領域で長年培ってきた技術力を発揮し、
独創的な製品を通じて、街に、暮らしに、社会インフラに、最先端ソリューションを生み出しています。

進化する<ガラスファイバ>

自動車やエレクトロニクス機器、住設機器などのプラスチック部材の補強材料として幅広く用いられている<ガラスファイバ>。この極細な素材が建築・土木分野でセメント製品の補強材としても利用されていることは、あまり知られていません。日本電気硝子はこの分野の技術を約40年にわたり途切れることなく継承、蓄積している世界でも比類のないメーカーとして、その品質、技術力に高い評価を受けています。

ガラスファイバは本来、コンクリートのアルカリ成分に弱いという性質を持っていますが、日本電気硝子の<ARG(耐アルカリガラス)ファイバ>はアルカリ性のみならず酸性にも強く、コンクリートやモルタルなどのセメント製品に均一に混ぜ込むことで補強効果を高めます。コンクリートの弱点である引っ張り強度や粘り強さも補い、ひび割れ抑制にも威力を発揮します。

耐アルカリ性・酸性の試験(電顕写真)

ガラスファイバイメージ

<ARGファイバ>のバリエーション

チョップドストランド

チョップドストランド

ロービング

ロービング

ネット

ネット

ミルドファイバ

ミルドファイバ

土木・建築技術の高度化、
建築デザインの進化を支える<ARGファイバ>

<ARGファイバ>を使ったGRC(ガラス繊維強化コンクリート)は鉄筋補強のコンクリートに比べて約3分の1に軽量化が可能。さらに魅力的な特徴は、鉄筋を入れることが困難な、デザイン性に富んだ複雑な形状、型抜き造作物など、自由度の高い設計を可能にできること。個性的な建築デザインを競う世界の著名建築家からGRCが支持され、さまざまな名建築が生まれています。近年では、超高層ビルのカーテンウォールなどでの使用も可能になり、活躍の場は世界中に広がっています。

安全・安心の確保と向上。“強い社会インフラ”を支える

日本国内で期待されているのが老朽化する社会インフラの補強・補修材としての利用です。近年も、高速道路のトンネル天井板崩落により多くの死傷者を出した事故がありました。その対策のひとつとして、トンネル内でのコンクリート剥落防止・補強工事にはメッシュ状の<ARGファイバ>が使われます。曲面の天井や壁面にも直接固定できるため目視検査が容易になり、メンテナンスしやすくなるという利点もあります。

ARGファイバ

トンネル内でのコンクリート剥落を防止

厚みの大きい橋脚などでは、ネット状に織り上げたで鉄筋を覆い包むように結束することで
耐震性向上や長寿命化に貢献しています。

施工時にネット状の「ARGファイバ」を鉄筋に結束

施工時にネット状の<ARGファイバ>を鉄筋に結束

コンクリート構造物の耐久性を向上

コンクリート構造物の耐久性を向上(施工後)

土木・建築の分野での安全性と安心感の向上。デザイン性の追求。時代のニーズに確かな答えを出し続ける<ARGファイバ>。今後のテーマは他の繊維材料との複合化による新たな素材の開発です。日本電気硝子は、これからも常に新たな発想で、街に、暮らしに、社会インフラに最先端ソリューションを生み出していきます。

ARGファイバ 製品情報

鉄に代わる防火性能を持つガラス

特定防火設備・防火設備用ガラス ファイアライト®も、日本電気硝子の先進の技術力を代表する製品のひとつです。耐熱性や耐熱衝撃性に極めて優れ、その防火性能は「世界最強レベル」と評価されています。通常の耐熱強化ガラスとの違いは、火も水にも強いということ。火災発生時、900℃を超える高熱に耐え、消火用の放水やスプリンクラーによる急冷にも破壊することがありません。その秘密は、熱の影響でほとんど伸び縮みしない、熱膨張係数がゼロに近いという特性にあります。

誕生したのは1988年。それまで防火扉には鉄の使用が万全の対策であり、乙種防火戸(現在の防火設備)用ガラスとしては網入りガラスが使用されていました。しかし、透明なファイアライト®が乙種防火戸用ガラスとして発売され、その後、鉄と同様に甲種防火戸(現在の特定防火設備)の個別認定も受け、その用途を拡大しました。

向こうが見える防火扉
迅速で的確な消火活動を可能にし、避難経路を確保

防火扉イメージ1
防火扉イメージ2

ガラスは、透明で向こうが見える点で圧倒的に優位です。消火活動の際、建物内部の状態が確認できれば迅速で的確な対応が可能になり、また、避難時には視界を閉ざさずに避難経路が確保することができます。日常は通常のガラス扉と同じように美しく、採光性があり、建物のデザインの可能性も広がります。

防災意識の高まりとともに、
一般住宅の強靭化へ向けた用途展開

一般住宅への普及に向けた取り組みも進んでいます。住まいの省エネ性をより高めるために、窓のペアガラスをトリプルガラスにするといった
動きへの対応。この3枚のガラスの中心にファイアライト®を組み込む構造です。ファイアライト®は薄くてもその性能は確保できるため
軽量で、防火性能にも優れた高断熱窓が実現可能。自然災害が多発する中、住宅は“家族を守るシェルター”という考え方が広まっています。
開口部の強靭化は重要な課題。防災意識の高まりとともに、その需要が拡大することは間違いありません。

防火性能に高い衝撃安全性をプラス
オンリーワンの防災ガラス ファイアライト プラス®

ファイアライト®2枚を難燃性のある特殊なフィルムで貼り合わせたガラスが ファイアライト プラス® 。防火性能に衝撃安全性が加わりました。万が一、人や物がぶつかって破壊しても、ガラス片が飛散したり落下したりすることがなく、地震発生時の安全性もより高まります。特定防火設備認定を受けた防火ガラスで、なおかつ飛散防止性能を持つ合わせガラスは、 ファイアライト プラス® 以外に存在しません。まさに、オンリーワンの防災ガラスです。

ショットバッグ試験

地震に備えた建築物の強靭化は時代の要請です。特に不特定多数の人が集まる駅や空港をはじめとする交通機関、商業施設、災害発生時は避難所にもなり、多くの人々を守る学校や公共施設などには、より高い安全性が求められます。火災にも震災にも強いファイアライト プラス®は年々活躍の場所を拡げています。

また、ファイアライト®はUL規格に適合していることから、アメリカはもちろん、シンガポールやアラブ首長国連邦(UAE)のドバイなど発展著しい国際都市でも“確かな防火ガラス”として選ばれるケースが増えています。

ファイアライト施工写真ギャラリー

日本電気硝子の結晶化技術

こうした画期的な性能を実現したのが、超耐熱結晶化ガラスです。一般の建築用板ガラスはソーダガラス。そのエッジを特殊加工して風冷強化処理した耐熱強化ガラスとは組成そのものから異なります。超耐熱結晶化ガラスは、ガラスに約30ナノメートル(ナノは10億分の1)という微細な結晶が析出しているガラスセラミックス。この結晶は熱すると縮む性質を持ち、一方、ガラス質は熱すると膨張するため結晶の収縮とガラス質の膨張がお互いに打ち消し合い、熱膨張係数ほぼゼロが実現できるのです。溶融から成形、加工に至る製造工程の中で、この結晶核の均一な生成と結晶化をコントロールする独自技術がファイアライト®を支えています。

超耐熱結晶化ガラス ファイアライト®とは?

ガラス内に均一に結晶を析出させた複合体

結晶化技術イメージ

世界で最も厳しい、
米国の安全認証「UL規格」に適合

843℃の加熱に30分間耐え、直後に放水を受けるという過酷な試験に合格しているファイアライト®は、「世界最強レベル」の特定防火設備・防火設備用ガラスです。

UL規格

米国の認証機関(Underwriters Laboratories Inc.)によって認定される規格で、製品の安全を保証するものです。米国に輸出し、販売される製品には必須の規格となっています。

ファイアライト

UL試験方法

  • 加熱時間:30分 ◇注水距離:約6m
  • 注水水圧:(ホース先端で)30ポンド/平方インチ(約2.1kg/cm2
  • 加熱温度:843度 ◇注水時間:最大10秒
  • 注水箇所:試験体の加熱面で枠も含めた全面に注水
試験映像

東京消防庁の火災実験にも採用

実際の火災に近い状況下で、防火ガラス部材がどのような挙動(破損などの発生)を示すか、また放水に対してこれらの部材がどのような挙動を示すかを観察・計測するための資料を得ることを目的に、消防研究所、東京大学、(株)イー・アール・エスと共同研究も行いました。

ファイアライト® t 5.0mm

      ファイアライト® 厚さ5.0mm

耐熱強化ガラス t 8.0mm

耐熱強化ガラス 厚さ8.0mm

実験方法

4m×4m、天井高さ2.3mの実験区画に、1.22m×1.93mの防火ガラスを枠材に取り付け。加熱仕様は、2号クリブ2段積みを模擬火源とし、区画の上部高層温度を15分間700℃程度に確保。その後、ガラスの非加熱側の最高温度(約470℃)時点で、ポリエチレンフィルムで作成した水球(水量300cc~930cc)を高さ50cmから所定の位置に衝突させる。

実験結果

ファイアライト®は、実火災を想定した加熱や水球衝突でもまったく変化はなかった。耐熱強化ガラスは、加熱時の温度差や水球衝突によりガラスは細かく破損・脱落し、火災の火が大きく噴き出した。

ファイアライト 製品情報

安全・安心。快適・強靭。
ますます重くなる日本電気硝子の使命

街に、暮らしに、社会インフラに、最先端ソリューションを生み出すガラス製品。これまでの常識を覆す驚異的な性能で、
安全・安心な街づくり、快適で強靭な生活環境の整備に不可欠な価値や機能を提供しています。こうしたガラスのめざましい進化を独自の発想と蓄積した技術で牽引している日本電気硝子。企業として重い社会的責任、公共的使命を感じながら、
「ガラスで、社会を変える」、そんな強い思いを原動力に、日本電気硝子の新たな技術開発は続きます。