“ガラスを超えるガラス”不可能を可能にしたガラスの糸!

高速道路の橋梁

強くする、軽くする。クルマやインフラを支えるガラスの糸
“ガラスを超えるガラス”が未来をひらく。

髪の毛よりもずっと細い、ガラスの糸。
約80年前に工業化された「ガラスファイバ」は、樹脂やセメントなどの複合強化材として使われています。
日本電気硝子は、世界屈指のガラスファイバメーカーとしてさまざまな高品質製品を供給しています。

直径4〜25μm に成形された、
さまざまな特性を持つ“ガラスの糸”。

微細な孔から髪の毛よりもずっと細い“ガラスの糸”が引き出される。

微細な孔から髪の毛よりもずっと細い“ガラスの糸”が、何千本も同時に引き出されます。それが「ガラスファイバ」です。私たち日本電気硝子は40 数年前からガラスファイバメーカーとしての歩みを続けています。
私たちのガラスファイバ製品は、ガラスの種類によって大きく2種類に分けられます。ひとつは樹脂の補強に使われる電気絶縁性に優れた〈Eファイバ〉や弾性率の高い〈高弾性率ファイバ〉です。樹脂に混ぜ込むことで絶縁性や耐熱性、硬度、寸法安定性を強化します。もうひとつは耐アルカリ性に優れた、セメントの補強に役立つ〈ARGファイバ〉です。ガラスファイバは本来セメントのアルカリ成分に弱いとされていましたが、ARGファイバをセメント製品に混ぜ込むことで、鉄筋がなくても必要強度が確保できる部材をつくり出しました。
これら繊維状のガラスはさまざまな形態に加工され、工業や建築・土木分野でなくてはならない複合材料として活躍しています。

ARGファイバと通常ファイバの耐アルカリ性比較

ARGファイバ

ほとんど変化は見られない。

通常のファイバ

ファイバが完全に破壊される。

樹脂の強度を高める〈Eファイバ〉、
モルタルを強化する〈ARGファイバ〉。

数千本のガラスファイバを束ねた「ストランド」を3〜25mm ぐらいに切断した製品が「チョップドストランド」。Eファイバのチョップストランドを樹脂に混ぜ合わせたガラス繊維強化プラスチックは、自動車部品や電子部品から航空機のノーズコーンにまで幅広く使われています。

また、ガラスペーパーとして床材や屋根材用に使用されるほか、シート状にした「チョップドストランドマット」は自動車天井材などへのニーズが高まっています。多数のストランドを集めて太い束にした「ロービング」は、住設機器など高い品質が求められる分野で多く使われています。
ARGファイバはチョップドストランドやロービング、ネット、すりつぶしたミルドファイバなどに加工されます。建築・土木分野で活躍するこの微細な素材は私たちが培ってきた技術から生まれ、高い評価を得ています。

多種多様なファイバ製品

さまざまな形状に加工されたガラスファイバは、樹脂やセメントなどの複合強化材として私たちの暮らしを支えています。

  • チョップドストランド

    チョップドストランド

    数千本の単繊維を集束剤で束ねたストランドを、さまざまな長さに切断したもの。

  • ロービング

    ロービング

    ストランドを集めて太い束にし、それを円筒状に巻き取った製品。

  • ヤーン

    ヤーン

    ストランドに必要な撚りをかけ、ボビンに巻き取ったもの。

  • ウエットチョップ

    ウエットチョップ

    単繊維を短く切断したもの。水中で短時間分散し、均一な分散状態を長時間保つ。

  • チョップドストランド マット

    チョップドストランド マット

    チョップドストランドを粉末の集束剤を用いてシート状にしたもの。

  • ネット

    ネット

    ヤーンやロービングを網目状に織り上げたもので、連続繊維による高い補強力を発揮。

  • ミルドファイバ

    ミルドファイバ

    単繊維を長さ数十〜数百μmにすりつぶした粉末状製品。

強度や寸法安定性などに優れたガラスファイバは、
高機能樹脂として暮らしの身近でも役立っています。

軽量化による環境性能の向上と、
生産効率化でモビリティを進化。

もともとは多くの金属部品で構成されていた自動車ですが、環境問題に対する意識の高まりとともにその強度は保持しながら、軽量化による燃費の向上が追求されてきました。それを可能にしたのが、Eファイバを樹脂に混ぜ合わせた強化プラスチックでした。樹脂の強度はもちろん、耐熱性や寸法安定性などを格段に向上させたことで、金属に取って代わる材料としてバックドアや天井材といった構成部材などに使用され、自動車の軽量化や低燃費化に貢献してきました。

さらに樹脂は溶融して金型に流し込めば小さなものから大きなものまで、複雑な形状のものも一体成形してモジュール化できるため、複雑な構造を持つエンジンの吸気管などの基幹部品にも使用され、部品の生産工程の簡素化やコスト低減にも寄与しています。
究極のエコカーとされる燃料電池車(FCV)用には、水素ステーションの貯蔵タンクや車載水素タンクを保護するためにガラスファイバが役立っており、未来カーをはじめとするモビリティの進化もしっかりと支えています。

自動車に用いられている主な日本電気硝子製品 フロントエンドモジュール▶ロービング インテークマニホールド▶チョップドストランド バッテリートレイ▶チョップドストランド ECUケース▶チョップドストランド インパネ▶チョップドストランド、ロービング ドアモジュール▶ロービング 天井材▶チョップドストランドマット ハッチバックドアパネル▶ロービング
エンジンルームのさまざまな部品に活用されている。

究極のエコカー・燃料電池車の普及に貢献するガラス繊維強化プラスチック。

表面をガラス繊維強化プラスチックで保護された車載水素タンク

燃料電池車(FCV)は水素と酸素の化学反応によって発電し、その電気エネルギーでモーターを回して走る自動車です。走行中に排出するのは水や水蒸気だけです。ガソリン車がガソリンスタンドで燃料補給するように、燃料電池車は水素ステーションで燃料となる水素を補給しますが、水素は高圧に圧縮されています。そこで必要になるのが高圧水素を貯蔵したり、車載したりするための専用タンク。高圧水素を封じ込めるために三層構造となっており、表面はガラス繊維強化プラスチックによってしっかりと保護されています。

建築と土木技術の高度化を支え、
“強い社会インフラ”づくりに貢献。

今日、高度経済成長時代に整備された社会インフラの老朽化が深刻化し、それらの更新や強化が急がれています。その補強や補修材として期待されているのがARGファイバです。高速道路におけるトンネル天井板の崩落事故も記憶に新しいところですが、トンネル内でのコンクリート剥離防止にはメッシュ状のARGファイバが使われています。また、橋脚などではARGファイバをネット状に織り上げて鉄筋を覆い包むように結束し、耐震性の向上や長寿命化を実現。安全・安心な“強い社会インフラ”づくりに貢献しています。

歌舞伎座に新たな歴史を刻んだ「GINZA KABUKIZA」。インドの国鳥・孔雀から着想を得た壮麗なチャトラパティ・シヴァージー国際空港(インド・ムンバイ)。これらの建物でも私たちのガラスファイバが活躍しています。
建築の装飾モルタル部材にARGファイバを混ぜれば、強度が増すばかりか、引っ張り強度や粘り強さを補い、ひび割れも抑制。複雑なデザインも型枠を用いてモジュール化が可能。このようにセメントにARGファイバを補強材として使用したGRC(ガラス繊維強化セメント)は、鉄筋コンクリートの1/3に軽量化できるとともに、鉄筋を入れることがむずかしいデザイン性に富んだ形状や自由度の高い設計を可能にします。このGRCは超高層ビルのカーテンウォールとしての活用も世界的に進んでいます。

繊細なデザイン表現を実現しつつ、
構造物の必要強度を確保するGRC。

GRC(ガラス繊維強化セメント)はアルカリによる腐食が少ないARGファイバが、部材全体に均一分散して隅々まで補強されています。鉄筋強化コンクリートに比べて壁の厚みを薄くでき、建物の軽量化に貢献。さらに、型枠を用いて工場生産が可能で、設置工事も容易です。
柱から天井につながる意匠が印象的なインド・ムンバイのチャトラパティ・シヴァージー国際空港や、昔の趣そのままに修築された東京銀座の歌舞伎座でも採用されています。GRCは個性的な建築デザインを追い求める著名建築家から支持を集め、世界中にさまざまな名建築を生み出しています。

チャトラパティ・シヴァージー国際空港(インド・ムンバイ)
GRCボードの断面
GINZA KABUKIZA(歌舞伎座)
ピンク色の部分がGRC使用箇所。外装(丸柱、破風板、貫染、懸魚、組物、チケットカウンターほか)
■事業主/松竹(株)・(株)歌舞伎座
■設計/(株)三菱地所設計+隅研吾建築都市設計事務所
■施工/清水建設(株)
メッシュ状に加工したガラスファイバでトンネル壁面を覆い、剥離防止効果と、ガラスの特性を活かした耐久性を向上させる。
大きな橋脚などではネット状に織り上げたARGファイバで鉄筋を被い包むように結束することで耐久性が向上し、構造物の長寿命化に貢献する。

グローバル供給体制の確立で、
世界へ、未来へ広がる新しい可能性。

私たちはM&Aによって2016年の欧州に続き、2017年には米国の ガラスファイバ事業を取得しました。これにより日本とマレーシアに加え、 欧米にも生産拠点を擁する4極のグローバル供給体制を確立したほか、 風力発電の大型ブレード(羽根)に使用される高弾性率ガラスファイバ などへも製品ポートフォリオを拡大。さらに新たな製品として、樹脂成形品 の反りや寸法安定性を改善するフラットガラスファイバの開発に取り組んでいます。  私たちはガラスファイバのリーディングカンパニーとして、高品質の製品を 世界中に安定供給するとともに、その可能性を切り拓いていきます。 日本電気硝子の挑戦に終わりはありません。

いっそうの軽量化やデザイン性を
ひろげた高弾性率ファイバ。

弾性率とは変形のしにくさを表す数値であり、弾性率が高ければ 高いほど変形しにくいということです。これまでにない高い弾性 率を持つ新しいガラスファイバは、それによっていっそうの軽量 化や新しいデザインを実現しました。再生可能エネルギーの象徴 といえる風力発電の大型ブレードをはじめ、さまざまなシーンで 活躍をはじめています。

従来品よりも40%も低い誘電率を
実現した低誘電率ガラスファイバ。

スマートフォンに代表されるモバイル機器では高機能化がすすんでおり、各種デバイスが搭載される基板の多層化にともなって低誘電率素材へのニーズが高まっています。これに応えて開発したのが、従来のガラスファイバよりも40%も誘電率をカットしたガラスファイバ。これを樹脂などに混ぜ合わせることにより、複合材料の低誘電化を実現しました。

低誘電率ガラスファイバ 従来のガラスファイバ
誘電率 4.2 7.0
ガラスファイバ 製品情報