“半導体基板”次世代半導体パッケージ向けガラスセラミックスコア基板「GCコア™」

高速でクラックレスかつ経済的な微細貫通穴(ビア)加工を実現

次世代半導体パッケージのコア基板として、大きな注目を集めているガラスコア基板。日本電気硝子はこのガラスコア基板への新しいアプローチとして、ガラスセラミックスコア基板「GCコア™」を開発しました。

ガラスセラミックスコア基板 GCコア

次世代半導体パッケージ技術

ICチップの微細加工技術は、半導体性能の飛躍的な向上に貢献してきました。しかし、ナノメートルレベルへの微細化は、技術的な難易度とコストという課題に直面し、限界に近づきつつあります。この課題を克服するために、半導体パッケージ技術が注目されています。ICチップそのものの微細化に頼らず、素材、レイアウト、実装方法を変えることで、性能向上を目指す革新的な技術です。

ガラスコア基板とは

ガラスコア基板は、半導体チップと外部回路を接続する基板をガラス素材にしたもの。従来のガラスエポキシ基板等の有機材料ベースの基板と比較して、優れた電気的特性、剛性、平坦性といった特長を有します。

ガラスコア基板とガラエポ基板
ガラスエポキシ基板 ガラスコア基板
(GCコア™ 含)
電気的特性 劣る 優れる
剛性 低い 高い
平坦性 劣る 優れる

GCコア™とは

ガラスセラミックスコア基板「GCコア™」は、このガラスコア基板を進化させた素材です。ガラス粉末とセラミックス粉末の複合材を用いたコア基板で、ガラスを用いたコア基板の特性に加え、「微細貫通穴(ビア)の加工が容易」という特長を持ちます。

次世代パッケージに使われるガラスセラミックスコア基板
ガラスコア基板 GCコア™
穴あけ方法 レーザー改質+エッチング CO2 レーザー
基板強度 100MPa 以下 100MPa 以上
生産プロセス 溶融 粉末を配合し焼成

特長

高い平坦性と剛性、細かいピッチでの微細貫通穴(ビア)加工を実現

従来のガラスエポキシ基板は表面平坦性に劣り、剛性も低いため、細かいピッチでの微細貫通穴(ビア)の加工が困難でした。一方、GCコア™は極めて高い平坦性と剛性を誇り、レーザー加工で微細かつクラックのない高精度な貫通穴を実現します。これは、高密度実装や高速伝送が求められるハイエンドな半導体デバイスに最適です。

微細加工穴(ビア)の上面画像
微細加工穴(ビア)の断面画像

(左)開発したGCコア™の微細貫通穴(ビア) (右)穴の断面画像
ø75μm,ピッチ250μm,基板厚み0.4mm(加工速度: 20,000穴以上/分)、ビアメカニクス㈱レーザ加工機にて加工



CO2 レーザー加工機で穴あけが可能

コア基板には、表裏に形成された微細な金属配線を電気的に接続するため、微細貫通穴(ビア)を形成する必要があります。

割れない&高速加工

一般的なガラス基板の場合、CO2レーザーにより穴を開けると、一定の割合でクラック(割れ目)が入り、基板の破損につながる恐れがあります。GCコア™は、セラミックスの特性も有しているため、高速でクラックレスの穴開け加工が可能です。

経済的&量産コスト低減の期待

一般的なガラス基板の場合、クラックを避けるためレーザー改質とエッチングを用いて穴加工する方法が一般的ですが、この方法は技術的難易度が高く加工に時間が掛かるほか、設備投資が必要になります。GCコア™は、一般に広く普及しているCO2レーザー加工機で穴加工ができるため経済的で、量産コストの低減が期待できます。

ガラスコア基板とガラスセラミックスコア基板のビア加工方法の違い

低い誘電率と誘電正接

ガラスセラミックスには、当社が独自に開発したLTCC 材料(低温同時焼成セラミックス)を使用しており、誘電率・誘電正接が低く、信号の遅延や誘電損失の低減を実現しています。

薄型化・軽量化に貢献

GCコア™は、ガラス基板と比べて強度が高いため、基板を薄くすることができ、半導体の薄型化に貢献します。また、割れにくいため半導体パッケージの生産プロセスにおけるハンドリング性が向上します。

ガラスコア基板との厚み比較

ニーズ合わせた仕様変更が容易

GC コア™は、ガラスとセラミックスの組成と配合比を変えることにより、ニーズに合わせた特性を実現できます。誘電特性に優れた低誘電率タイプ以外にも、樹脂基板の熱膨張に合わせた高膨張タイプ、強度に優れた高強度タイプなど幅広い用途に対応できる基板の開発を可能にします。

タイプ 低誘電率タイプ 高膨張タイプ 高強度タイプ
製品コード GCC-1 GCC-2 GCC-3
誘電正接 2.45 GHz 0.0013 0.0002 0.0004
40 GHz 0.0016 0.0004 0.0007
比誘電率 2.45 GHz 3.9 7.0 7.9
40 GHz 3.8 6.8 7.6
熱膨張係数(ppm/℃) 6.1 8.9 7.4
曲げ強度(MPa) 150 260 340

特長比較表
 

ガラスエポキシ基板 ガラスコア基板 GCコア™
平坦性
高密度配線 困難 可能 可能
ビア加工方法 レーザー改質+エッチング CO2 レーザー
ビア加工速度 遅い ø75, 20,000 穴以上/分
基板強度 100MPa 以下 100MPa 以上
生産プロセス 溶融
(少品種大量生産向き)
粉末を配合し焼成
(多品種少量生産にも対応可)

2030年に104兆円規模に成長する巨大市場

半導体マーケットは、2030年には104兆円規模に成長すると予測されています。GCコア™は、この巨大市場における次世代パッケージ技術として、大きな役割を果たしていくと期待されています。
GCコア™は、半導体以外にも、医療機器、通信機器、自動車など、幅広い分野での応用が期待されています。
日本電気硝子は、革新的なガラスセラミックスコア基板「GCコア™」で、次世代半導体技術の飛躍的な発展に貢献します。


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