環境ビジネスプラン

環境保全活動の具体的な取り組みについてご紹介します。

環境ビジネスプランの概要

環境ビジネスプランは事業経営の手法を環境保全活動に応用した当社独自の活動です。当社は環境負荷をミニマムにする活動が「世界一効率の高いモノづくり」につながると考え、2001年から「廃棄物」、2003年から「水」の削減の活動に取り組んでおり、2021年から「エネルギー」の活動をスタートさせました。

「廃棄物」、「水」においては、それぞれ原単位を指標に継続的な削減とリサイクル化を進めることにより、環境負荷の低減に取り組んでいます。「エネルギー」においては、ガラス製造に使用するエネルギーの原単位を指標とした効率の改善計画や目標を設定して、エネルギー使用効率を向上させる活動に取り組んでいます。この活動を、電力比率向上や水素燃焼などの新しい製造プロセス、再生可能エネルギーの導入などと組み合わせて、当社のCO2排出削減の目標達成に向けた取り組みを進めていきます。

環境ビジネスプラン

エネルギー使用効率の向上

当社は2021年度に開始した「エネルギー」のビジネスプランの活動により、グローバルで製品の各製造工程(溶融・成形・加工)やユーティリティ設備における使用エネルギー量の可視化を行い、エネルギーの効率的な使用と無駄の削減を進めています。

得られたデータは生産性改善のための解析と対策立案に用い、エネルギー使用原単位(生産重量比)を継続的に低減するべく、エネルギー使用効率を向上させる活動に取り組んでいます。この活動は当社のカーボンニュートラル実行計画に基づく目標および改善計画と連動しています。

2023年度のエネルギー使用原単位は2018年度比で21%低減しました。

エネルギー使用原単位
エネルギー使用原単位

廃棄物の削減

当社は、「ガラス事業固有の固形廃棄物は社内再利用を徹底すること」を基本に、リサイクルに着目して、環境のビジネスプランによる「廃棄物」の削減の活動を2001年度に開始しました。

まず廃棄物を通常の生産活動で発生する「通常廃棄物」とガラス溶融炉の定期的な修理などで発生する「大型工事廃棄物」に区分しています。

それぞれをさらに下のように4種に分類し、環境負荷の高い「埋立処分D」から順に優先順位を定めて削減を進めています。

総排出量
廃棄物排出量
廃棄物の分類
廃棄物の分類

通常廃棄物- 埋立処分Dは日常の発生を極限まで低減する取り組みとリサイクル化により、国内では2009年度以降販売重量比0.1%以下を継続しています。一方、海外では2016年度、2017年度にイギリス、オランダ、アメリカの複合材事業を買収によりグループ会社とした結果、通常廃棄物量が急増しました。今後は海外の通常廃棄物についても削減を推進していきます。

大型工事廃棄物- 埋立処分Dは主にガラス溶融炉の修理時に発生し、リサイクルできなかった廃レンガです。

2017年度にクロム(Cr)レンガとジルコニウム(Zr)レンガを耐火物メーカーで原料として再利用し、社会リサイクルB 区分とする仕組みを構築しました。これにより特別管理廃棄物となるCrレンガの埋立処分量の削減に大きく貢献しています。

埋立処分以外の社会リサイクルB、企業リサイクルCでは、排出量削減に努めると同時に、選別・分類による製品原料としての再資源化や、焼却時の熱エネルギーとしての利用を推進しています。

近年問題視されているプラスチックの2023年度の国内排出量は1,370トンでした。そのうち廃棄として扱われる企業リサイクルCと埋立処分Dの合計量は802トンであり、社会リサイクルBとして再資源化された量は568トンでした。

今後は海外事業場についても同様の取り組みを進めていきます。

販売重量に対する通常廃棄物-埋立処分D

販売重量に対する通常廃棄物-埋立処分D
プラスチック国内排出量

水の削減

当社は「水」のビジネスプランを2003年度にスタートさせ、水資源を有効かつ効率的に活用する取り組みを進めてきました。「モノづくりのレベルは水の使用量に表れる」との考えのもと、水を管理することで溶融、成形、加工などの製造プロセスのあり方の理解と技術・設備の完成度を高める活動を行っています。

水のフロー
水のフロー

製品の販売重量に対する取水、排水量の推移をグラフに示します。

販売重量に対する取水、排水量
販売重量に対する取水、排水量
取水量
取水量
排水量
排水量

2004年度以降、ブラウン管から液晶への急激な事業転換により原単位が増加しましたが、2014年度以降、ディスプレイ事業での利用効率の向上活動により、原単位の継続的な低下を進めています。

当社では貴重な水資源の取水量低減のため、大量に水を使用する溶融・成形プロセスでの冷却用途や、加工プロセスでの洗浄用途での繰り返し利用を推進しています。他の用途でも水の使用目的や要求品位にあわせたカスケード利用や浄化による循環利用により、取水量、排水量の削減を進めています。

地球環境保全への貢献活動

当社は地球環境保全につながる活動として、生物多様性への対応や省エネ・創エネなどの環境配慮型製品の供給や開発を行い、持続可能な社会に貢献できるよう取り組んでいます。

太陽光発電によるVPPA(仮想電力購入契約)を初締結

当社は、再生可能エネルギー発電事業者とVPPAを当社として初めて締結しました。VPPAは、需要家の敷地外で発電された再生可能エネルギー電力の環境価値のみを仮想的に需要家が調達する手段で、国内では2022年より実現可能になった新しい再生可能エネルギー電力の導入形態です。今回の契約によるCO2削減効果は、年間約770t-CO2を見込みます。今後もカーボンニュートラル達成に向け、さまざまな取り組みを加速させていきます。

発電所地:三重県松阪市など5か所
発電開始日:2024年3月
契約期間:20年

グリーン工場に認定

当社中国子会社の電気硝子(厦門)有限公司が、環境負荷低減と生産性の両立を行っている模範工場として、中国政府から「グリーン工場」に認定されました。「グリーン工場」とは、環境に配慮した製造モデルを推進するために、2015年に制定された中国政府による認定制度です。
同社は、生産効率の改善や使用エネルギーの低炭素化を進めてきたことが評価され、今回省級の認定を取得しました。今後も当社グループ全体として持続可能なモノづくりの実現を目指していきます。

電気硝子(厦門)有限公司